動物医療の発展や食生活の向上など様々な要因がありますが、犬の平均寿命が延びています。そのため、犬と暮す上で終生飼養について、しっかりと考えることが必要です。
終生飼養とは
終生飼養とはどういうことかというと、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)には以下と記述されています。
動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
動物の愛護及び管理に関する法律 第七条
ザックリと言ってしまうと、最後まで責任を持ってペットを飼育しましょうということです。
終生飼養の考え方は以前からありますが、平成25年9月1日施行の改正動物愛護管理法で終生飼養の努力義務が明記されました。
また、飼い主からの依頼に応じて犬や猫を引き取らなければいけなかった都道府県等が、終生飼養に反する理由では引き取りを拒否できるようになりました。一方で、殺傷や遺棄、虐待の罰則が強化されています。
終生飼養は努力義務とはいえ、最後までペットと生活をともにしていかなければいけない環境になってきたといえます。
最後まで責任を持ってペットと暮らすために
最後まで責任を持ってペットと暮らしていくためには、何が必要になるのでしょうか。
動物愛護管理法の改正を受けて、終生飼養に反する理由によって引き取りができないことをWEBサイト上に掲載している自治体があります。
その中の1つ、岡山市のWEBサイトで挙げられている終生飼養に反する理由の例から見えてくるものがあるかと思います。
- ペットが年老いた・病気になった
- ペットに子供が生まれた
- ペットが言うことをきかない・ほえて困る
- ペットに飽きた
- 引越しや入院でペットを手放したい
- 飼育に関わる金銭的理由
ペットに子どもが生まれたとか、飽きたといった飼い主の身勝手な理由はさておき、上記の例を見ると飼い主に原因がある場合とペットに原因がある場合と、大きく2つに分類できます。
飼い主側の問題
金銭的理由であったり、入院であったり、飼い主自身のやむを得ない事情であっても、終生飼養に反するとして引き取りができないのです。
金銭的な問題に関しては、ペットを飼う前に支出のシュミレーションをおこなうということしかないのかなと思います。
食費がどれくらいかかるだろうとか、トリミング費用はどれくらいだろうかとか。将来病気にかかることを考えると、ペット保険に加入しておくから保険料はいくらだとか。
特に、人間と違ってペットの治療は保険のきかない自由診療なので、病気になった場合の備えは必要です。
飼い主自身の不測の事態に備える
また、飼い主自身のやむを得ない事情で一緒に暮らすのが難しくなることが起こりえます。
高齢者であれば、入院したり、自分が要介護になったり。転勤でペット不可の住居に引っ越すことになったということもあるでしょう。こういった不足の事態に備えるには、事前に頼める人や施設を見つけておくことです。
アイペット損害保険の調査によると、自身の万一に備えて想定している預け先は家族・親族がほとんど。
ただ、家族・親族も常に受け入れられる環境であるとはかぎりません。ですから、かかりつけの動物病院やトリミングサロン、もしくは愛護団体など他の預け先候補も探しておいたほうが良いでしょう。
ペット側の問題
最後までという言葉から高齢化しているペットや病気になった介護について考える必要があります。でも、考えなければいけないことはそれだけではありません。
上記でも「ペットが言うことをきかない・ほえて困る」とあるように、犬とずっと一緒に生活していくためにしつけも重要な問題です。
ただ、介護についてもしつけについても、関連するサービスは増えています。例えば、老犬ホームや老猫ホームのような介護施設。しつけも猫はありませんが、犬の場合はドッグトレーナーによるしつけ教室が数多くあります。
金銭的な問題さえクリアできれば、ペットと最後まで一緒にいるための選択肢は増えてきたのではないでしょうか。